結論
ご質問のように、
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役員として在籍はしているが
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本年も来年度も役員報酬・賞与・退職金など「給与等」を一切支払わない予定で
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今後も支給見込みがない
のであれば、その役員について**「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を回収する必要はありません。**
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思考プロセスと根拠
ステップ1:論点整理
論点はシンプルに1つです。
「給与等の支払いが全くない役員」についても、会社は年ごとに扶養控除等申告書を回収しなければならないのか?
ここで重要になるのは、扶養控除等申告書の提出義務が発生する条件です。
ステップ2:適用除外の有無(そもそも対象になるか)
まず、「扶養控除等申告書」が誰に義務付けられているのか、法令と国税庁資料で確認します。
① 所得税法第194条(扶養控除等申告書の提出義務者)
所得税法第194条1項は、要約するとこう書いてあります。
国内において給与等の支払を受ける居住者は、その給与等の支払者から毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに、扶養控除等申告書を提出しなければならない。ぜいけん+1
ポイントは「給与等の支払を受ける居住者」であり、
給与等の支払を受けない者(=年内一切の役員報酬等がない者)は、この条文の対象外です。
② 国税庁の手続案内等
国税庁の「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」の案内でも、
この申告書は、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者に提出してください。国税庁+1
と明記されています。
また、「給与に係る源泉徴収制度の概要」でも、居住者は「毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに」提出する旨が説明されています。国税庁
ここから、扶養控除等申告書は
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「給与等の支払を受けること」を前提に
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その最初の支給の前日までに提出するもの
と位置付けられていることが分かります。
③ 本件への当てはめ
ご質問の役員は、
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本年:役員報酬0円(給与等の支給なし)
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来年度:役員報酬0円予定(給与等の支給予定なし)
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将来も支給予定なし
という前提なので、その会社から給与等の支払を受ける者に該当しません。
したがって、所得税法第194条に基づく「扶養控除等申告書の提出義務」も、実務上の回収義務も発生しないと判断できます。
この時点で論点はほぼ解決するため、これがステップ2の結論です。
ステップ3:補足的な法的・実務的整理
ステップ2でほぼ結論は出ていますが、実務上気になりがちな点をいくつか補足しておきます。
① 「役員だから必要」という理解は誤り
扶養控除等申告書は
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「役員か従業員か」という身分ではなく
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「その会社から給与等の支払いを受けるかどうか」
に紐づく書類です。
役員であっても、
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報酬を1円も受け取らない
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賞与・退職給与など含め「給与等」の支給が一切ない
のであれば、源泉徴収関係の書類(扶養控除等申告書・保険料控除申告書など)は不要です。
② 将来、急に支給が発生する場合
たとえば今は0円でも、
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途中から少額の役員報酬を支給しはじめる
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期末に賞与を支給する
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退任時に退職金を支給する
といった可能性が出てきた時点で、その支給が行われる年については、
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「その年の最初に給与等の支払を受ける日の前日までに」扶養控除等申告書を提出させる必要がある国税庁+1
という扱いになります。
したがって、「今後も一切支給しない」という前提が崩れた時点で、初回支給前までに回収する、という運用になります。
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根拠資料一覧
※すべて公的機関資料・法令等
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所得税法第194条(給与所得者の扶養控除等申告書)
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出典:内閣府資料(所得税法条文抜粋)内閣府ホームページ
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「所得税法 第194条 給与所得者の扶養控除等申告書」条文
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内容:国内において給与等の支払を受ける居住者は、毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日までに申告書を提出する旨。ぜいけん
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国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」
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内容:その年の最初に給与の支払を受ける日の前日までに申告書を提出すること等。国税庁
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国税庁「令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」記載注意書き
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内容:この申告書は、その年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに給与の支払者に提出する旨。国税庁
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国税庁パンフレット「日本における給与に係る源泉徴収制度の概要」
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内容:居住者は、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに扶養控除等申告書を提出することの説明。国税庁
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注意事項・リスク
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将来の支給可能性
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現時点では「今後も支給予定なし」とされていても、経営判断で途中から役員報酬を設定する可能性がゼロとは言い切れません。
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その場合は、「最初の支給が発生する年」について、支給前日までに扶養控除等申告書を回収する必要があります。
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賞与・退職金も「給与等」に含まれる点
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役員賞与や退職金も、源泉所得税の観点では「給与等」に含まれます。
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普段の月額報酬が0円でも、退任時だけ退職金を支払う場合などは、その支給年で扶養控除等申告書が必要になる点に注意が必要です。
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他社から給与を受けているケース
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当該役員が別会社から給与を受けている場合、その別会社側では当然「主たる給与」等として扶養控除等申告書の提出・年末調整が発生しているはずです。
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ご相談の会社側で一切給与等を支払わない限り、「従たる給与」「乙欄」などの議論も生じませんが、途中から兼務役員として報酬が出始めれば、従たる給与の取扱いなど別論点も出てきます。
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住民税・給与支払報告書の扱いとの混同に注意
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扶養控除等申告書は所得税・源泉徴収・年末調整のための書類です。
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「役員報酬が0円でも、在籍者として給与支払報告書(0円)を出すべきか」という論点は個人住民税の届出実務の話であり、今回の「扶養控除等申告書が必要か」という質問とは別次元の論点になります(この点を混同しないよう注意が必要です)。
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