2026年1月26日月曜日

給与支払いは2025年度0円だけど、社会保険料だけ控除している従業員は給与支払報告書や法定調書を提出する必要はありますか?

 1. 結論

  • **(前提:2025年中の「支払金額(額面)」が本当に0円)**なら、原則としてその従業員について

    • 源泉徴収票(給与所得の源泉徴収票)の作成・交付/税務署提出

    • 給与支払報告書(個人別明細書)の提出
      “作る対象(受給者)に当たらない”可能性が高いです(※ただし後述のとおり、市区町村実務では「休職・育休者も提出して」と案内している例があります)。 (国税庁)

  • (よくある落とし穴)「手取り0円」なだけで、額面の給与等は発生している(=社会保険料控除で相殺されて振込0円)場合は、支払金額は0円ではありません。この場合は通常どおり

    • **源泉徴収票は受給者へ交付(年末または退職後)**し、

    • 給与支払報告書にも額面で記載して提出が必要です。 (国税庁)


2. 思考プロセスと根拠

ステップ1:質問の論点整理

論点は大きく2つです。

  1. 住民税側:給与支払報告書(市区町村へ)を「0円でも出すのか」

  2. 国税側:法定調書(主に給与所得の源泉徴収票等)を「0円でも出すのか」

ステップ2:適用除外・例外の確認(簡易判定フロー)

  • 国税庁の整理では、給与支払報告書(市区町村提出)は、税務署提出の源泉徴収票の提出範囲とは別で、**“翌年1/1現在に給与等の支給を受けているすべての受給者”**等が対象、とされています。 (国税庁)

  • さらに、年の中途で退職した受給者で、退職後の給与等の支払金額が30万円以下なら給与支払報告書の提出を省略できる旨も明記されています。 (国税庁)
    → つまり「受給者(給与等の支給を受ける人)」に該当しないほどそもそも支払が無いなら、形式的には提出対象から外れる余地があります。

ステップ3:詳細解釈(本質分析フロー)

3-1. 「給与0円」の意味を税務用語で分解

  • 税務・給与実務でいう **「支払金額」=原則“額面(総支給額)”**です。

  • したがって、振込(手取り)が0円でも、総支給があるなら“支払金額0円”ではありません
    → この場合、源泉徴収票は受給者に交付義務があり(提出範囲に関わらず「すべての受給者」へ交付)、給与支払報告書も作成・提出の前提になります。 (国税庁)

3-2. 「社会保険料だけ控除」の位置づけ

  • 給与の支払自体が0円なのに「社会保険料だけ控除している」という状態は、実務上は

    • 従業員負担分を会社が立替えていて後日回収(未収金/立替金)

    • あるいは、給与控除しきれず未控除分を繰越
      などの処理になりがちで、それ自体が“給与の支払”を生むわけではありません(=給与支払報告書・源泉徴収票の“支払金額”には通常入りません)。
      ※ここは会社の経理・給与処理の設計により表示が変わるため、最終的には「2025年中の総支給が1円でもあるか」で判定します。

3-3. 市区町村実務の注意(0円でも提出を求められる例)

  • 休職・育休中の従業員について、自治体FAQで**「普通徴収の対象者として給与支払報告書を提出」**する運用が示されている例があります(横浜市)。 (横浜市役所)
    法令の形式要件だけでなく、提出先市区町村の運用に合わせるのが安全です(少なくとも、未提出による照会や住民税事務の混乱を避けやすい)。

ステップ4:国税(法定調書)の整理

  • 国税庁は、法定調書の提出義務者・提出方法等を示し、給与支払報告書等の市区町村提出にも触れています。 (国税庁)

  • 給与所得の源泉徴収票の税務署への提出範囲はケースにより限定されますが、受給者への交付は提出範囲に関わらず必要とされています。 (国税庁)
    → 逆に言うと、受給者(給与等の支払が確定した人)でない=給与の支払が無いなら、源泉徴収票・法定調書として“作るものが無い”整理になります。


3. 根拠資料一覧

  • 国税庁「No.7411 『給与所得の源泉徴収票』の提出範囲と提出枚数等」 (国税庁)

  • 国税庁「No.7400 法定調書の提出義務者」 (国税庁)

  • 横浜市FAQ「退職予定者、休職中や育児休業中の従業員の給与支払報告書は、どのように提出したらよいですか。」 (横浜市役所)


4. 注意事項・リスク

  • 最大の分岐は「額面0円」か「手取り0円」かです。手取り0円でも額面があれば、源泉徴収票・給与支払報告書は原則必要になります。 (国税庁)

  • 給与支払報告書について、国税庁の説明上は「翌年1/1現在に給与等の支給を受けている受給者」等が対象ですが、自治体によっては休職・育休者を提出対象として案内している例があります。 (横浜市役所)

  • 「社会保険料だけ控除」の処理は、給与システム上の表示が**“控除”に見えても実態は立替・未収**の場合があり、**帳簿上の処理(未収金/預り金など)**を誤ると監査・税務調査で説明が難しくなります。

  • 「2025年度」が **暦年(2025/1/1-12/31)**なのか **年度(2025/4/1-2026/3/31)**なのかで、提出対象年がズレることがあります(給与支払報告書・源泉徴収票は原則“暦年”ベース)。

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