1. 結論
ご提案の 「他事業所だけ 2026/11/1~2027/3/31(5か月)でいったん区切り、次に 2027/4/1~2028/3/31 にする」 という“つなぎ”は、36協定の「1年の上限管理(対象期間・起算日)」の考え方と整合しにくく、原則として推奨されません(起算日を途中で変える扱いになり得ます)。
全社(本社+他事業所)で期間を揃えるなら、厚労省Q&Aが示す例外的取扱いとして、36協定を再締結して起算日を変更すること自体は可能ですが、再締結後も「当初の36協定の対象期間の上限(年360等・年6回等)を引き続き遵守」=一定期間は“旧・新の両方を守る”運用が必要になります。 (厚生労働省)
2. 思考プロセスと根拠
ステップ1:質問の論点整理
論点は次の3点です。
36協定は事業場ごとに期間(有効期間・起算日)がバラバラでも良いか
バラバラを揃えるために、**短期(5か月)の“つなぎ協定”**を作れるか
揃えるなら、どんな手順・運用が法令・通達(公的Q&A)上、安全か
ステップ2:適用除外等の確認(簡易)
そもそも、法定労働時間超・法定休日労働をさせないなら36協定の実務必要性は低いです。
ただし通常は、時間外・休日労働の可能性があるため36協定を前提に進めます。
(36協定の締結・届出が必要であること自体は厚労省資料で整理されています。) (厚生労働省)
ステップ3:詳細な法的解釈(本質分析)
3-1. 「有効期間」「起算日」等は法令上、協定で定める事項
36協定(労働協約による場合を除く)では、施行規則で有効期間や1年の起算日等を定めることが求められています。
(根拠:労働基準法施行規則 第17条、出典:e-Gov法令検索) (e-Gov 法令検索)
3-2. 年間上限の「対象期間」は“1年”で厳格に管理され、途中の起算日変更は原則不可
厚労省の「改正労働基準法に関するQ&A」では、
年間の限度時間(原則360時間)や、特別条項の「月45超えの回数(年6回まで)」は厳格に適用すべき
その観点から 対象期間の途中で起算日を変更することは原則認められない
と明確にしています。
(根拠:改正労働基準法に関するQ&A 2-6(趣旨)、出典:厚生労働省) (厚生労働省)
→ ご提案の「2026/11/1~2027/3/31でいったん区切り、次に4/1起算へ」は、“途中で起算日を変える(分断する)”設計になりやすく、上記Q&Aの趣旨と衝突しやすいです。 (厚生労働省)
3-3. ただし「複数事業場で統一する」など“やむを得ない”場合は例外的に可能。ただし“両方遵守”
同じ厚労省Q&Aは例外として、
複数事業場を有する企業で対象期間を全社統一する等、やむを得ず起算日変更をする場合は、
36協定を再締結したうえで
再締結後も「当初の36協定の対象期間における上限(年の延長時間・限度時間、月45超の回数等)」を引き続き遵守
としています。
(根拠:改正労働基準法に関するQ&A 2-6(趣旨)、出典:厚生労働省) (厚生労働省)
同趣旨の労働局FAQでも同様の整理があります。 (厚生労働省所在地一覧)
3-4. あなたのケースへの当てはめ
本社:2025/4/1~2026/3/31
他事業所:2025/11/1~2026/10/31
目標:全社で 4/1~3/31 に統一
この場合、安全側の設計は次のどちらかになります。
A案(Q&Aどおりの“再締結+重複遵守”で揃える)
他事業所は次回もいったん通常どおり 2026/11/1~2027/10/31 で更新(起算日11/1)
その後、全社統一のために 2027/4/1~2028/3/31 の36協定を他事業所で再締結・届出(起算日4/1)
2027/4/1~2027/10/31は「旧(11/1起算)」「新(4/1起算)」両方の年上限・年6回等を同時に守る運用にする
→ 厚労省Q&Aの例外枠に最も沿います。 (厚生労働省)
B案(本社側を他事業所に合わせる)
本社側の起算日を11/1側へ寄せる(ただし本社側でも同じく“再締結+両方遵守”の問題が出ます)
→ どちらが実務負荷が軽いかは、残業の出方・管理体制次第です。
一方、ご質問の **「2026/11/1~2027/3/31(5か月)の“つなぎ”を作って、4/1に揃える」**は、
1年上限の厳格管理の趣旨 (厚生労働省)
起算日の同一性の要請(厚労省の啓発資料) (厚生労働省)
各労働局資料で「有効期間は原則1年」等の実務整理 (厚生労働省所在地一覧)
との整合が取りにくく、監督署対応でも説明が必要になりやすいため、原則としてはA案が無難です。
3. 根拠資料一覧(公的資料)
厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A」(対象期間の途中で起算日変更は原則不可/統一のための例外と“両方遵守”) (厚生労働省)
労働局FAQ(起算日変更時は再締結+当初協定も引き続き遵守) (厚生労働省所在地一覧)
労働基準法施行規則(36協定で定めるべき事項:有効期間、1年の起算日等)e-Gov (e-Gov 法令検索)
労働局資料「36協定の適正な締結」(起算日の同一性に関する注意) (厚生労働省)
労働局資料「36協定届 記入例」(有効期間は原則1年 等の実務整理) (厚生労働省所在地一覧)
労働局資料(チェックポイント:最も短い場合でも1年間となる等) (厚生労働省所在地一覧)
4. 注意事項・リスク
統一のために再締結する場合、一定期間“旧・新の両方遵守”が必要で、年360・年6回・月100未満等の管理が一気に難しくなります(違反リスク)。 (厚生労働省)
「つなぎ協定(5か月)」は、監督署から趣旨説明や修正指導が入りやすい設計です(資料上も有効期間は原則1年の整理)。 (厚生労働省所在地一覧)
どの案でも、届出前の時間外・休日労働は違法になり得るため、開始日前に届出が完了している運用が必須です。 (厚生労働省)
そもそも36協定は事業場単位のため、統一は“必須”ではなく、統一メリット(管理簡素化)と、統一のための“両方遵守”のコストを比較して決めるのが安全です。 (厚生労働省)
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