2026年3月21日土曜日

機構の高年齢者雇用アドバイザーが来たけど、就業規則で注意する点ありますか?

 

  1. 結論
    高年齢者雇用アドバイザー(機構=JEEDの支援)対応で就業規則を見るときは、「定年・継続雇用(65歳まで)」が法要件どおりに書けているか、特に ①対象者が“希望者全員”になっているか(経過措置終了後の書きぶり)②継続雇用しない事由を独自に広げていないか③再雇用後の労働条件(契約期間・更新・賃金等)が矛盾なく整理されているかが最重要です。加えて、**70歳までの就業機会確保(努力義務)**を実施するなら、規程・計画・周知まで含めて整合させるのが安全です。 (日本教育情報データベース)


  1. 思考プロセスと根拠

ステップ1:質問の論点整理(就業規則での主要チェック領域)

論点は大きく6つです。

  • A. 定年年齢の設定(60歳未満は禁止)

  • B. 65歳までの雇用確保措置(定年が65歳未満なら必須)

  • C. 継続雇用(再雇用等)の対象者・除外要件の書き方

  • D. 継続雇用後の労働条件(契約期間・更新・賃金・職務等)の一貫性

  • E. 70歳までの就業機会確保(努力義務)を採る場合の規定化

  • F. 就業規則の手続(意見聴取・届出・周知)

(根拠:厚労省「高年齢者の雇用」および関連Q&A、JEEDの支援概要、改正(70歳)概要、労基法上の就業規則手続の案内) (厚生労働省)

ステップ2:適用除外等の確認(最初にここで詰まるポイント)

  • 就業規則の「届出義務」は、原則として常時10人以上の事業場で発生します(ただし、10人未満でも就業規則を整備すること自体は有益です)。
    (根拠:e-Gov電子申請の手続概要(就業規則(変更)届)) (e-Gov電子申請)

  • 一方、**高年齢者雇用(65歳までの雇用確保)**は、就業規則の届出義務の有無とは別に、定年を設ける事業主に関係します(定年が65歳未満なら措置が必要)。
    (根拠:厚労省「高年齢者の雇用」) (厚生労働省)

ステップ3:詳細な確認ポイント(就業規則で“事故りやすい”順)

① 2025年4月1日以降:継続雇用の「経過措置終了」に合わせた書きぶりか

過去に労使協定で対象者基準を設けていた会社は、経過措置が2025年3月31日で終了し、**2025年4月1日以降は「希望者全員を65歳まで」**の制度設計が前提になります。就業規則(本則・再雇用規程など)に、経過措置前提の文言が残っていると要修正です。
(根拠:厚労省「継続雇用制度の対象者を限定する基準」経過措置終了の案内、リーフレット) (厚生労働省)

② 継続雇用制度を採るなら「希望者全員」が原則(除外は“解雇事由等”の範囲で)

厚労省Q&Aでは、継続雇用制度は希望者全員が対象で、継続雇用しないのは、原則として就業規則の解雇事由・退職事由(年齢理由を除く)に該当する場合などに限られ、またそれでも合理性・相当性に留意が必要とされています。
(根拠:厚労省「高年齢者雇用安定法Q&A(雇用確保措置関係)」) (厚生労働省)

✅就業規則での実務チェック

  • 「会社が必要と認めた者のみ」等の裁量的な限定が紛れ込んでいないか

  • 「継続雇用しない事由」を、解雇事由・退職事由より広く取っていないか
    (根拠:同Q&A) (厚生労働省)

③ 65歳までの雇用確保措置は3択のどれで行うかが、就業規則に反映されているか

定年が65歳未満の事業主は、(a)65歳まで定年引上げ、(b)継続雇用制度導入、(c)定年廃止のいずれかを実施する必要がある、と整理されています。
(根拠:厚労省「高年齢者の雇用」) (厚生労働省)

就業規則上は、どれを採るかで条文構成が変わります(例:定年60+再雇用規程、定年65、定年廃止)。モデル条文例も厚労省資料にあります。
(根拠:厚労省「モデル就業規則(定年、退職及び解雇)」) (厚生労働省)

④ 再雇用後の労働条件を「規程」と「個別契約」で食い違わせない

就業規則(再雇用規程含む)には、少なくとも次を矛盾なく置くのが実務上重要です。

  • 契約期間(例:1年更新など)・更新の取扱い

  • 職務内容・配置の範囲、労働時間(短時間化の有無)

  • 賃金(手当・賞与・退職金の扱い含む)

  • 評価・降格/降給の条件(恣意的にならないよう)

  • 「更新しない/継続雇用しない」場合の事由(②と整合)

ここが曖昧だと、説明・運用で揉めやすく、アドバイザーも重点的に見ます(賃金・処遇制度の見直しはJEED支援メニューの中心)。
(根拠:JEEDの相談・助言/企画立案サービスの説明) (日本教育情報データベース)

⑤ 70歳までの就業機会確保(努力義務)をやるなら「規程 or 計画・周知」まで

70歳までの就業機会確保は、法制度上「定年引上げ/定年廃止/70歳までの継続雇用」だけでなく、業務委託や社会貢献事業等の選択肢も含めた努力義務として整理されています。
(根拠:厚労省 改正概要) (厚生労働省)

実施する場合、措置の内容によっては計画や周知等の実務要件が絡み、Q&Aでも規程の置き場所や手続の考え方が示されています。
(根拠:厚労省「高年齢者就業確保措置関係Q&A」) (厚生労働省)

⑥ 就業規則の変更手続(意見聴取・届出・周知)が抜けないか

就業規則を変更するなら、少なくとも

  • 過半数組合(なければ過半数代表者)の意見聴取

  • (常時10人以上なら)所轄労基署への届出

  • 労働者への周知
    の観点で漏れがないか確認します。
    (根拠:e-Gov「就業規則(変更)届」手続概要、厚労省モデル就業規則の説明部分) (e-Gov電子申請)


  1. 根拠資料一覧(公的資料)

  • 厚生労働省「高年齢者の雇用」 (厚生労働省)

  • 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~『継続雇用制度』の対象者を限定する基準」 (厚生労働省)

  • 厚生労働省 リーフレット「高年齢者雇用確保措置を講じる必要があります(経過措置終了)」 (厚生労働省)

  • 厚生労働省「高年齢者雇用安定法Q&A(雇用確保措置関係)」 (厚生労働省)

  • 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保」 (厚生労働省)

  • 厚生労働省「高年齢者就業確保措置関係Q&A」 (厚生労働省)

  • JEED「70歳雇用推進プランナー等による相談・援助(高年齢者雇用アドバイザー)」 (日本教育情報データベース)

  • e-Gov電子申請「就業規則(変更)届」手続概要(労基法第89条に基づく案内) (e-Gov電子申請)

  • 厚生労働省「モデル就業規則」関連(定年・退職章、手続説明) (厚生労働省)

  • 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」 (厚生労働省)

  • 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリー)」 (厚生労働省)


  1. 注意事項・リスク(見落としやすい点)

  • 賃金を大きく下げる設計をする場合、職務内容等との関係で説明が弱いと紛争化しやすい(同一労働同一賃金の考え方・説明責任の観点)。 (厚生労働省)

  • 「継続雇用しない事由」を独自に広げると、高年齢者雇用安定法違反になり得る(“希望者全員”原則との衝突)。 (厚生労働省)

  • 「更新しない」「雇止め」など契約終了の場面は、就業規則・再雇用規程・個別契約の整合が取れていないとトラブルが起きやすい(条文を“運用できる形”に)。 (厚生労働省)

  • 高年齢者が増える職場では、安全衛生面の配慮(転倒災害等)を制度として回していくことが推奨され、ガイドライン等も整備されています。 (厚生労働省)

  • 70歳までの就業機会確保は努力義務でも、実施するなら手続(同意・計画・周知等)が論点になります。 (厚生労働省)

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